映画「風立ちぬ」

新宿ピカデリーで見た。朝一の回だけどとても混んでいたのでジブリの人気の高さを感じた。

単純に素晴らしいとか、感動したとかいうのは難しいというか、正直言えばいやだなあと思うところがいくつもあったんだけど、見て泣いたのも事実なので、なんか困る映画。二郎は飛行機が大好きで、美しい飛行機を作りたくて作りたくて仕方がなくて、飛行機さえ作れればいい人だと思う。そういう気持ちは「純粋で素敵だなあ」と憧れる気持ちが私にはあるんだけど、その「純粋な気持ち」が招いたのはいったいなんだったかということを考えると、美しいものを作るために、知らないうちに悪魔に魂を売ったのかもしれないと思う。彼は別にそういうことを望んでいたわけではないのはわかるけど、結局乗った人たちは一人も帰ってこなかったわけだし、エンジンが非力だから機関銃なんか積んでなければもっと軽くできるのに、なんて言葉になるわけだし。でもそういうのが人間なのかなあ。

菜穂子との恋は美しい。菜穂子は二郎が好きで好きで、彼女は彼女のやりたいようにやったようだし、きっと満足なんだろうと思う。紙飛行機を飛ばすシーンは楽しそうで素敵だった。ただ私はたばこが嫌いなので、結核の彼女の横で手をつないだままたばこを吸うシーンはどうしても嫌な気持ちになって仕方がない。菜穂子がそうしろと言ったんだから、それでいいんだと思うけど。たばこがいっぱい出てくる映画だったなあ。最近映画でもあんまりたばこを見ない気がするので、そういう意味では新鮮だった。